NHKラジオ尖閣発言 日本の尊厳に対する深刻な問題

09-19 admin

国際放送での尖閣諸島に関する発言について、会見するNHKの(左から)井上樹彦副会長、稲葉延雄会長、山名啓雄専務理事・メディア総局長=10日午後、東京都渋谷区(鴨川一也撮影)

NHKのラジオ国際放送で8月に中国籍の男性スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)を「中国の領土」と主張し、「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」などと発言した問題で、NHKは国際放送担当理事の引責辞任などを発表した。

NHKによると、男性は靖国神社で落書きが見つかったニュースを伝える直前、「個人に危険が及ぶ」とNHKの担当者に怒鳴り、生放送中に問題の発言を行ったが、ディレクターやデスクはマイクの音量を下げるなどの緊急対応が取れなかった。つまり、日本の公共放送が数十秒間、中国人に放送ジャックされたのだ。NHK関係者への厳しい処分は当然だが、それだけで矛を収めてよいのだろうか。

そもそも、このニュースは靖国神社の石柱への落書きについて報じていたときに起きている。同神社への落書き事件は、この5月末に続いて2度目であった。国のために命をささげた英霊たちが冒瀆(ぼうとく)された1度目をもっと重く見て、二度と同様のことを繰り返させない覚悟で警察による警備をより厳しくするなどの措置はとれなかったのか。

さらに視野を広げれば、男性スタッフが口にした尖閣について国は、まったくもって毅然(きぜん)とした態度をとっていない。筆者は過去15回、尖閣海域に漁船で渡ってきたが、そこで目にしたのは、及び腰な日本政府の対応をあざわらうかのように、日に日に厚顔の度を増す中国「海警」の姿。日本政府は「遺憾だ」と繰り返すばかりで実効性の伴わない対応に終始し、結果として今やほぼ毎日の接続水域への侵入、今年は週1回の割合で領海侵入を許している。

こうした日本の態度が、日本をなめる国を増長させ、その結果が氷山の一角として現れたのが今回のNHKの放送ジャックではなかったか。単なる一中国人のとっぴな行動とそれを防げなかったNHKの不祥事と矮小(わいしょう)化することなく、国家の尊厳に対して突きつけられた深刻な問題と受け止めるべきであろう。

折しも自民党総裁選。日本の尊厳を本気で守る信念と実行力あるリーダーの誕生を心から願う。

葛城奈海(かつらぎ・なみ)

防人と歩む会会長、皇統を守る国民連合の会会長、ジャーナリスト、俳優。昭和45年、東京都出身。東京大農学部卒。自然環境問題・安全保障問題に取り組む。予備役ブルーリボンの会幹事長。近著に『日本を守るため、明日から戦えますか?』(ビジネス社)。

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